「自業自得でしょう」
私の母が、くも膜下出血で緊急搬送。
当時の直属の看護師長に、
その旨を伝えた時の開口一番が
自業自得でしょう!でした。
うーん?
色んな意味で深い。
どういう思いでそんな言葉を発したか、
その時は聞くゆとりもなく、
あれから15年以上が経ちました。
すでに母も亡くなってますが、
何故か、
ふとした時に
この言葉を思い出します。
ぼんやりとですが、
不快感と残念さ、
それと看護師といってもこんなもんか、
という無力感を感じたのを覚えています。
あと言葉の賞味期限って、
意外とないなあ、という印象。
だって、
その言葉から
ありありと場面を思い出せるし、
あの時の感情だけは、
時間が経ったことで
更にエッセンスだけが残っていて、
よけいに濃密で鮮度が際立ってます。
単に私がしつこい(((^^;)
だけかも知れないけれど。
何ヵ月か前に、
コーチングの練習相手として、
セッションを受ける機会がありました。
私が疲れやすい体質だけど、
うまくエネルギー配分していきたい、
というテーマでセッションを受けました。
若い頃の交通事故の後遺症のことを話すと、
「それは、あなたが引き寄せたんでしょう」
おー!
引き寄せ!
どうもプロコーチのYouTubeで
コーチングを独学でやっているらしく、
感心するほど知識は豊富。
流行りの量子力学にも関心があるみたいで、
パーンと鮮やかに、
私が後遺症を引き寄せてるんですよ!
って説明してくれました。
つまり何か行動に移さない理由として、
自分を守るために、
私が後遺症を引き寄せているらしい。
私もお節介焼きですが、
違う角度のお節介やなあ(ー。ー#)
その時、
「自業自得でしょう」
と言う言葉を思い出しました。
確かに科学的に
「引き寄せ」も解明されてきてようだし、
コーチングにも活用されているので
使いたい気持ちも分からないでもありません。
でも、
私からしたら、
コーチングに「愛」が感じられなかったら、
いくら正しくても
いくら正義でも
いくら流行りの理論でも、
相手の心には届かないし、
不快な不協和音しか響かせません。
結局、
悶々とセッションは終了。
確かに量子力学の本を本でよると、
病気にしても引き寄せていると
書かれています。
でも全てを鵜呑みにするのも
怖いもんだし、
真実が全て正しいとも思わない私。
私も事故の後遺症で
手足が痺れるんだよなあ~って、
思考しているということは、
痺れる手足に意識が向いていることは
理解します。
大好きなダンスする時は、
意識が踊ることに集中されてるので、
45分間は忘れることができているし(^^)d
でも、
それでも痺れる手足が
無くなった訳ではないので、
後から反動的に痺れが
「私を忘れてないかい!」
みたいに存在をアピールしてきます(-.-)
痺れた手足も自分の一部だし、
まるっと全部で私です。
ただ、たま~に、
すごーく意識を集中させて
痺れた神経を正常な神経に
置き換えられないかな?って
体に念を送ってます(^^)/
あかん、
また話が逸れてます。
私は別に元看護師だからとか関係なく、
病気の人や、
今現在、不幸な人に対して、
「あなたが引き寄せてるんですよ」
とは言えません。
もしかしたら、
私がそう言われたくない
気持ちの裏返しかも知れませんが。
ちょっと凹んでいるから、
知らないうちに
ネガティブを引き寄せてるのかも。
と言うことは、
裏を返せば、
ちょっと凸ったら、
思い切りポジティブを引き寄せ~\(^^)/
だから、大丈夫だよ!
甘えてるかも知れないけれど、
そんな言葉を期待します。
外科外来で勤務していた時、
内視鏡検査をして癌が見つかると、
精密検査をする前段階でクッション的に
医師が説明をしていました。
私も同席する機会が何度もありました。
まず環境の設定。
診察室を整理整頓して、
椅子の配置
携帯電話を切る
身なりを整える
スタッフの立ち位置を決める
説明に使う検査結果や資料、筆記用具
簡単なシミュレーション
他のスタッフの協力も得て、
完全に説明する時間は
患者さんとそのご家族のモノでした。
説明した後は、
付き添った看護師が再度、
質問に答えたり
不安がないかのフォローに入る。
医療者にとっては、
もしかしたら、
癌の告知は日常かも知れません。
でも、
患者さんとそのご家族にとったら
100%事実の非日常なんですよね。
逃げられないし、
無防備に放り出された
不安の塊になって診察室で座っています。
そこに留目をさすように、
「あなたが引き寄せてるんですよ!」
言わないし、
言えないですよね。
医師や看護師と違い、
コーチは国家資格ではありません。
それでも、
人間を扱うため
厳しい倫理規定があります。
法律とは違い、
倫理は自分の中にあります。
倫理という言葉が難しければ、
人に対する愛でも思いやりでも構わない。
相手にしているのが、
感情を持った人間であるということを、
対人支援をする者は忘れては
ならないんですね(^^)
※参考文献
小森 圭太 科学潜在意識の書きかえ方
小林 弘幸 人生で一番役に立つ「言い方」